湖上で 文化・経済フォーラム滋賀
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2月11日琵琶湖汽船ビアンカ船上にて、文化・経済フォーラム滋賀の設立総会が開催されました。文化・経済フォーラム滋賀は、滋賀県文化振興条例が平成21年7月に施行されたの受け、「文化で滋賀を元気に!」を合言葉に、経済、文化関係者等で作られました。

その後の講演会では大阪大学総長の鷲田清一さんが「アートと社会」というテーマでお話され、それはまさに住民参加型まちづくりのお話でした。私が事務局長をしている淡海ネットワークセンターは財団法人淡海文化振興財団の愛称。財団のミッションは、住民参加型まちづくりですから、今回のテーマは、これまでしていたことと、これからしていくことの線上にあります。

鷲田先生
芸術という言葉ではなく、最近はアートという言葉が使われている。その社会的意義は、アートプロジェクトに参加することにより市民参加型のまちづくりの効能に「まち」は気づきはじめているということ。

あるアーチストと一般市民で作り上げたアートプロジェクトでは、①アーチストのつぶやき―僕は一人のスタッフ 誰かが指導し、誰かが従うのではなくみんながつくる、②ある若い女性の気づき「一人一人の正義は違うんだ。」教室で教えられるのではなく、社会とのつながりの中で学ぶ教育の機会があった。こういう大切な気づきが、デモクラシーのレッスン。プロジェクト遂行にあたっては、経理、広報、企画、ボランティアト等々そこには誰でも自分のできることがある。

(令子)
市民活動は民主主義の学校ということばがあります。まさに何かがあるという期待感で参加した人達がアートプロジェクトを通して、学び、それがプロジェクトの完成として見える達成感。分かりやすい。アートは市民活動。市民活動はアート。NPOマネージメントは、それを支える基盤づくり。

鷲田先生
アートを媒体として社会は変容していく。越後妻有トリエンナーレ、愛知、瀬戸内国際芸術祭、封印された地下街で光のパフォーマンスをするなどなど。アートにより美術教育の範疇を出て教育の普遍性が増し、地域活性化につながっている。これが、社会的ムーブメントになっている。

(令子)
メセナ協議会では2009年に『社会創造のための緊急提言「ニュー・コンパクト」~文化振興による地域コミュニティ再生策~』を出しており、今日のお話につながります。滋賀県文化振興条例もこういう文脈を踏んでいる。

●……「ニュー・コンパクト」(=地域再生政策ビジョン) 5つの原則
 1. 循環型社会の再生と創造
 2. 地域文化の再生と創造
 3. 市民自治による社会的な課題解決
 4. セクター間ネットワークの強化
 5. 地域間ネットワークの形成
あわせて、この原則に基き、文化領域の専門機関として、緊急アクションプランを提案します。
●……ニュー・コンパクト 【緊急アクションプラン】 
 1. 「地域資源の活用とコミュニティー経済の確立」
 2. 「文化への集中投資」
 3. 「地域の市民セクターの強化」
 4. 「領域横断的な地域文化振興策の強化」
 5. 「クリエイティブ・コミュニティー・ネットワークの構築」

鷲田先生
現代社会はサービス社会であり、市民はサービス受益者。自分達で自分達のことを面倒みる力が弱っている。災害が起こっても隣の状況がわからないケースが多い。前近代社会では、教育、医療、見守り、冠婚葬祭は家族や近所、地域コミュニティでしていた。「生命の世話」を、今では人にしてもらっている。クレイマーやモンスターペアレントなどは近代福祉社会の象徴。住民はお客であってこの町のあるじの感覚を失いつつある。「公共」は職業ではない...(令子:公共はだれでもする(べき)こと、できること。)
こういう受身な社会的背景が、若い人から働く意味を奪い、消費の町と化した労働のないニュータウンでは女性や高齢者が自分の社会的意味や存在感を持ちづらい。(令子:そういう状況を少しでも良くしようと活動している人が多くなっているのも事実)

こういう閉塞感をアートプロジェクトでつながることにより、自分の存在する場所を見つけられる。試行錯誤の上、できたプロジェクトにはみんなの思いが詰まっている。こういう体験をするとまちづくり(政治や地域の活性化など)にも入っていける。全体主義的にみんな一体となって行動するのではなく、協議しながら、それぞれの価値観や意見が違ってもそれを理解し、解決策を見つけ、最終的にプロジェクトができる。これが協働。

リーダシップ不在というけれど、『梅棹忠夫 語る』 (日経プレミアシリーズ) [新書] の中にあるように、followershipが大切ではないか。リーダーに引っ張ってもらう烏合の衆ではなく、自覚した(enlighted)フォロワーの中から時代に適応したリーダーが出てくることが大切。

オバマ氏の大統領就任演説で、”a new era of responsibility”という表現があった。これはJohn F. Kennedyの大統領就任演説(スピーチ動画)の”Ask Not What your country can do for you. What you can do for your country.”を下敷きにしている。respond―無視するのではなく、応じること。

(令子)
ケネディの言葉は、いつも私の講演資料で最後に載せています。
愛の反対は憎しみではなく、無関心。マザー・テレサの言葉に通じていますね。

鷲田先生の講演に胸温かくなり、そうでしょ、そうでしょと何人かと共有するなかで、最後に言葉を交わした方は、あの話がストンと分かった人がこの中で何人いるだろうかと。アートと市民社会に関して体験感覚を持っている人だけに、む~ん、そうか。芸術・文化というジャンルから市民感覚のアクションアートへ。まだまだ道のりは長いですね。あきらめない。何度でも。

ラ・フォル・ジュルネ びわ湖 「熱狂の日」音楽祭2011 開催決定!!
開催:2011年4月29日(金・祝)・30日(土)
テーマ:「ウィーンのベートーヴェン」
http://www.biwako-hall.or.jp/topics/detail.php?id=124
ラ・フォル・ジュルネは、「一流の演奏を低料金で提供することによって、明日のクラシック音楽を支える新しい聴衆を開拓したいとの芸術監督の思いから始まった企画。今年はどんなinvolvement とresponsibilityが具体化するのか。
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by sdo-asanoya | 2011-02-12 22:26 | 新しい価値の創造
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